阪神・淡路大震災から30年

今日は、阪神・淡路大震災から30年。
駒沢敏器の小説『ボイジャーに伝えて』(風鯨社)のストーリーでは、この震災が主人公の死生観を左右する一つの大きなテーマとして根をおろしている。
読み手である私は、この本を通して震災の痛みを疑似体験する。
文学はあくまでフィクションであり、この疑似体験は当たり前に現実には到底及ばない小さな小さな幻想ではあるけれど、それでも感情が動いたという事実によって一つの現実の出来事に意識的な繋がりができることで、わたしの現実にも確実に影響を及ぼしていく。
それが正に文学の力だなぁと思う。
ついついうっかりフィクションの世界にのめり込んで現実を忘れがちな自分だけど、現実を生きてきた人が書いた文学、それを読むならば、文学からまた現実を生きる力をもらって、生きることに思いきり活かしたいと思う。
そこまでしてやっと、文学の力なのかな、とも思う。。
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