風鯨社の本、第3弾は咲セリさんによる短編集『いのちのほとり』です。
咲セリさんは、さまざまな精神疾患や生きづらさを抱え、死にたい気持ちや自らの体験・想いを、隠すことなく赤裸々に綴る作家。
これまで、生きづらさの自己開示本や、ノンフィクション、精神科医との共著、エッセイ、小説などさまざまな形で、
「命は何もできなくても、生きているだけで愛おしい」
というメッセージを発信してきました。
またカウンセラー資格を取り生きづらさを抱える人の悩みを聞くなど、生きづらさ当事者だからこそ寄り添える方法をつねに模索し続けている方です。
今回の本『いのちのほとり』は、
「なぜ生きるのか、なぜ死ぬのか、なぜ愛するのか、なぜ自分は自分なのか」という、
セリさん自身が抱いた根本的な問いをもとに書き上げた短い短編を、4編収めました。
人生に押しつぶされそうな時に、「生きたい」という一筋の希望を見つけられることでしょう。
ほぼ全ページにわたって、文字と一緒に咲セリさんの手がけた絵が挿絵として入っており、 装画もセリさんの絵になっていますが、実は絵を描いたのは初めてとのこと。
どれも文章に呼応した力強く美しいイメージとなって、大人のための絵本のような作品ができあがりました。
悲しい時、
寂しい時、
辛くなった時、
生きている意味がわからなくなった時…
この本が、あなたの心に寄り添えますように。
短いフィクションだからこそ、本を読む元気がない時にも開いて欲しい。
そこにあるだけであなたの存在を肯定できる本になりますように。
あなたは、生きているだけでいい。
どうか、必要な人に届きますように。
<作品紹介>
・どうして生きているんだろう-。ミノの中でもがく「きみ」と「あなた」の物語 – 『いのちのほとり』
・感じることを忘れてしまった「その人」の、人生の終わりにふいに訪れた独りじゃない夜の痛み -『あわいのほとり』
・愛する人を突然失い、取り残された日々を生きる「彼女」が抱えていく想い -『さようならのほとり』
・”一度でいいから、誰にも所有されない生というものを味わってみたかった。”違う生を望みながら自らの生を終える生きものたちの命の連鎖 -『えいえんのほとり』
<作家より>
「ここにある小さな物語は、私の最初に出会った問いに、不器用な私がみつけた、私なりの答えです。命の数だけ、答えがあると思います。だから、共感してほしいとは望みません。
ただ、こんなふうな見方をした人間もいるのだと、もしこれを読んでいるあなたが苦しんでいるのなら、知ってもらえたら少しだけ嬉しい、そう願い書きました。 」
咲セリ(本文あとがきより)
<造本について>
この本は、本来の上製本の造形の美しさを味わってもらうために、カバー無し・帯のみの商品となります。表紙には手触りの良い紙を使用し、手のひらにそっと乗る、小さくて軽い本になっています(縦160cm×横130cm・厚み1.1cm、重さ174g)。
丁寧に作られたものは、そこにあるだけで人の心を癒すお守りになります。
2色刷で作られた中面には、全144ページ中60点以上の挿絵を掲載。見返し紙としおりひもには、表紙の絵に合わせた水色を使用。
文字を読む元気がない時にも、そこにあるだけで持ち主の存在を肯定できるような、お守りになるような美しい本が出来ました。
咲セリプロフィール:心の病気や死にたい気持ちをそのまま肯定し発信する、作家・カウンセラー。
1979年大阪生まれ。 家庭でうまく愛情を受け取れない「愛着障害」として成長し、希死念慮や摂食障害、依存症に苛まれる。数々の精神疾患名(強迫性障害、双極性障害、境界性パーソナリティ障害、不安障害、てんかん)がつき自殺未遂を繰り返していたところ、猫エイズと猫白血病を患う猫「あい」と出会い、「命は何もできなくても、生きているだけで愛おしい」と知る。
その後は精神科医との共著を出すほか、全国での講演活動やカウンセラーとしての活動等、生きづらさ当事者だからこそ寄り添える方法を模索している。
主な著書に『死にたいままで生きています。』、『絆の病 境界性パーソナリティ障害の克服』、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました。』、 『生きたい彼 死にたい私 響き合う二つの命』など多数。
【いのちのほとり】
著(文・絵):咲セリ
装丁・組版:鈴木美咲(風鯨社)
装画:咲セリ
定価:1800円+税
四六変形判/丸背上製本/全144ページ
ISBN:978-4-9911568-2-3
発売日:2023年12月13日
書籍詳細情報:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991156823