<書評掲載情報>
・2022/07/15 | Coyote No.77 評者: 新井敏記(Coyote編集長)
・2022/07/25 | TAP the POP 評者: 中野充浩(文筆家・編集者)
・2022/08/24 | 週刊新潮 9月1日秋初月増大号 評者: 佐久間文子(文芸ジャーナリスト)
・2022/09/09 | Forbes Japan 評者: 三橋 曉(書評家)
・2022/09/28 | 毎日新聞 夕刊 東京夕刊 評者: 渡辺祐真(文筆家・書評家・書評系YouTuber)
・2022/10/02 | 産經新聞 評者: 中川和彦(スタンダードブックストア店主)
・2022/12/13 | 本の雑誌 2023年1月特大号(現代文学ベスト10) 評者:佐久間文子(文芸ジャーナリスト)
・2022/12/18 | 神奈川新聞 28840号書評欄 評者: 太田有紀
・2023/01/23 | Forbes Japan 評者: Forbes JAPAN 編集部
・2023/02/06 | 朝日新聞デジタルマガジン&[and] 評者:八木寧子(湘南 蔦屋書店 人文コンシェルジュ)
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風鯨社の本、第2弾は
駒沢敏器さんの遺した長編小説『ボイジャーに伝えて』です。
<著者プロフィール>
駒沢 敏器 (コマザワ トシキ) :
1961年東京都生まれ。雑誌『SWITCH』の編集者を経て、作家・翻訳家に。主な著書は、小説に『人生は彼女の腹筋』(小学館)、『夜はもう明けている』(角川書店)、ノンフィクションに『語るに足る、ささやかな人生』(NHK出版/小学館文庫)、『地球を抱いて眠る』(NTT出版/小学館文庫)、『アメリカのパイを買って帰ろう』(日本経済新聞出版)、翻訳に『空から光が降りてくる』(著:ジェイ・マキナニー/講談社)、『魔空の森 ヘックスウッド』(著:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/小学館)、『スカルダガリー』(著:デレク・ランディ/小学館)など。2012年逝去。
この小説『ボイジャーに伝えて』は、2005年7月〜2007年6月の2年間、小学館の小説雑誌「きらら」にて連載されていた作品です。
著者である駒沢敏器は、ルポルタージュやトラベローグ、小説を中心に、音楽、建築、料理とジャンルを超えて執筆をしていた作家で、数多くの著作や翻訳を残し、いまでも多くのファンに愛されています。
例えば1994年に出版した『伝説のハワイ』は、のちに英訳されハワイ大学の教科書にも使用されるなど、物事の本質や裏面を見抜く鋭い文章で今もなお読む人を魅了し続けています。
駒沢さんのファンだった私は当時連載を読んでいて、単行本化を心待ちにしていました。
しかし連載終了後、単行本化のための編集の段階で駒沢さんが逝去したことにより、お蔵入りとなっていました。
ずっと「またあの作品が読みたい」と思っていたところ、奇跡的なご縁があって、駒沢さんのご親友の平田公一さんから連載当時の紙面を読ませていただく機会をいただきました。
15年ぶりに読んだ作品は、あの時からまったく色あせることなく私の目の前にありました。
むしろ、あの時よりももっと鮮明に、心の中に飛び込んできました。
あぁ、あの人に読んでほしい、この人にも読んでほしい、と知人友人の顔が次々と浮かび、
この作品をこのまま眠らせておくのはもったいない。
今読むべきメッセージもたくさん込められている。
なんとか世に出せないだろうか…?
そう思って動き出したところ、ありがたいことに風鯨社より出版できることとなりました。
この小説の主人公は、
世界中の自然音を録音しながら音の向こうの世界を見出そうとする公平と、レコーディングスタジオで働く恭子。
2人が出会ったことにより、物語が始まります。
風にゆれる稲穂を山形で録音しているときに、田んぼの持ち主が面白いことを言いました。
「山の神が風になって、稲穂のなかで遊んでいる」と言うのです。僕が探しているものは、もしかしたらそのようなものかもしれません。自然の音に宿っている何か。それを知ることができれば、僕は日本を実感できるのかもしれません。
北山公平
セント・ギガ(実在したフィールドレコーディングを中心にしたラジオ局)に感銘を受けて自然音を採取し録音作品を作り始めた公平は、見えない音の向こう側にある世界を見出そうと日本を旅し、沖縄にたどり着きます。
その旅路を見守る恭子。2人はお互いの存在を通して、それぞれが自分自身のあり方について真摯に模索し続けるという物語です。
『ボイジャーに伝えて』は、世界中を巡りながら紀行文を書いてきた駒沢氏の抱えていたテーマや思想が、フィクションという形で展開された小説なのです。
「死を、いま生きている対極に置くんじゃなくて、いのちをいのち足らしめているものとして、自分の中に親密に取りこんで、その死との関係性のなかで生きることが、人生を充実させるように思ったんだ。」
「きみがいて、いつかそこへ僕は戻る。そういうことを頭に置かないで、録音の旅ができるだろうか。自分のしていることを伝える相手がいないまま、それでも何かをすることは可能だろうか。不在がもたらしてくれる何かがあるとしたらそれだ、と僕は思う。」
没後10年。
駒沢さんが作家を志すきっかけとなった冊子「Morgen Rote」を一緒に発行していた平田公一さん、当時の担当編集者 稲垣伸寿さんの多大な協力を経て、また鈴木成一デザイン室さんに素晴らしい装丁を製作していただき、『ボイジャーに伝えて』の書籍が出来上がりました。
私は、ずっと読みたかった本がついに手元に現れる喜びで、胸がいっぱいです。
ぜひ、駒沢敏器という作家が残した最後の長編小説『ボイジャーに伝えて』を通して、彼の見ていた深淵で静謐な世界と、出会っていただけたらと思います。
風鯨社 鈴木美咲
<著者プロフィール>
駒沢 敏器 (コマザワ トシキ) :
1961年東京都生まれ。雑誌『SWITCH』の編集者を経て、作家・翻訳家に。主な著書は、小説に『人生は彼女の腹筋』(小学館)、『夜はもう明けている』(角川書店)、ノンフィクションに『語るに足る、ささやかな人生』(NHK出版/小学館文庫)、『地球を抱いて眠る』(NTT出版/小学館文庫)、『アメリカのパイを買って帰ろう』(日本経済新聞出版)、翻訳に『空から光が降りてくる』(著:ジェイ・マキナニー/講談社)、『魔空の森 ヘックスウッド』(著:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/小学館)、『スカルダガリー』(著:デレク・ランディ/小学館)など。2012年逝去。
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【ボイジャーに伝えて】
著:駒沢敏器
定価:2300円+税
四六判/仮フランス装/全448ページ
装丁:鈴木成一デザイン室/装画:朝光ワカコ
ISBN:978-4-9911568-1-6
発売日:2022年7月22日
※書籍詳細情報(版元ドットコム)
https://kaiin.hanmoto.com/bd/isbn/978-4-9911568-1-6
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